制作後話
 未来の私に贈るものとして作った今回の作品は、お金を出して買って頂くまでに至ってないかもしれません。しかしながら、それならそれなりに今の自分に出来る精一杯の作品を作ろうと、制作を本格的に開始した5月半ば辺りから今まで、色んなことを犠牲にして作ってきました。まぁ、犠牲と言っても、主に『他の何かをやりたい時間』ですので、言葉の通りの重い意味はあまりありませんが・・(苦笑)。

 それでも、それなりに納得のいく作品が出来たし、ジャケットのデザインをお願いしたねこりさんには思った以上のものを描いて頂けたので、初めての自主制作CDとしては出来のいいものだと思います。勿論、出来が良いか悪いかは聴いて頂いた方が決めることだと思うのですが・・。

 さて、それぞれの曲の制作後話についてですが。


+ 01. 蝶の羽を持つ少年 +
 最初はインストゥルメンタルだったこの作品は、裏歌詞(ジャケットには掲載せず、メロディ作りの参考のために作った歌詞)として作った歌詞が、歌ってみたいと思えるものだったので歌曲にしました。
 蝶たる少年は私そのものであり、メロディラインや歌詞を作ること自体は然程苦労はしませんでした。いかに自分の作った作品に自信の欠片も持てない頃の私を表現するかが、この作品の課題。歌詞で表現出来ても曲全体のイメージで崩れてしまっては意味を成さないので、伴奏部分を作ることが一番の苦労でした。

+ 02. ただひとつ +
 これも最初はインストゥルメンタルでした。一種のわらべ歌みたく、同じようなメロディを繰り返す曲にしたかったという希望が叶った作品です。
 少年の親代わり的存在の白い花が少年に対して願うこと。これは私自身が一歩でも前に踏み出せなかった頃に思っていたことであり、この曲自体の制作も苦労はあまりしておりません。前曲と同様、歌詞のイメージが崩れないような伴奏を作ることが一番の苦労でした。

+ 03. 宙-ソラ-で歌う風 +
 少年が飛び立つ切欠を与える存在のひとつである風を表現した曲です。
 今回作ったCDの元となったショートストーリーで、世界の色んなことを話す風を表すことは、実は結構難しかったのです(汗)。間接的にしか知らない世界を表現することを課題にしたこの曲は、今回の曲作りでは一番苦労したものじゃないでしょうか。その割に裏歌詞は結構スムーズにいった記憶があります(苦笑)。
< 裏歌詞 >
 たった独りで咲く私は
 何処から来たのか分からない
 風とのお喋りが楽しみで
 此処に来るのを 待っている

 雲が流れる 流れてくる
 風に乗ってやってくる
 やっぱり何処から来たのか分からない
 雲の話も好きで

 私が見られないこと 見てきた彼らが
 話すことのひとつひとつが
 とても新鮮だった
 花弁に溜まる雨の雫が
 空で鳴り響く雷が
 穏やかに揺れる草の音が
 全て風の気持ちのようで

 たった独りで咲く私が
 独りじゃないと教えてくれた
 風や雲がこの幼き蝶に
 勇気を与えてくれますように

 どうか どうか・・・

+ 04. 静かなる蒼 +
 CDに収録された曲全ての中で一番重い感じの曲となったこの作品は、実は一番のお気に入りです^^。
 蝶たる少年が飛び立つ最後の切欠となる蒼穹は、CDのタイトルとなったものなので、最後の最後まで拘ったものだったからですね。歌曲としても良かったのですが、今回はインストゥルメンタルで仕上げました。
 重たくなった関係でもしかしたら浮いてしまうかも、という心配があったのですが懸念で終わってほっとしております。
< 裏歌詞 >
 果てなく 広がってゆく
 永遠の 蒼穹は

 静かに ただ静かに
 僕たちを 見ている

 時折吹く風が 止んでしまったら
 雲も草の音さえ 止んでしまう

 そんな時見る蒼は とても深くて
 哀しくもないのに 涙流れた
 『飛んでゆきたい・・・』

 果てなく 広がってゆく
 届かない 蒼穹の

 向こうへ 向こう側へと
 行きたいと 手を伸ばしてみる

 目の前に 進むべき
 道筋が 広がった

+ 05. 飛び立つ羽 +
 希望に満ちたものにしたい、と、目指すイメージにそっくりな他の曲を繰り返し聴いて作った曲です。
 前曲の裏歌詞に『飛んでゆきたい』と入れたのは、次の曲がこの曲だったから。飛び立とうとする蝶たる少年が表現しきれているかどうか微妙なところかもしれませんが、この曲もこの曲で気に入っていたりします。
 始めから始まるメロディに沿って、裏歌詞の『はばたかす 舞い上がる』から始まる部分のメロディが一番のお気に入り。機会があったら実際に歌ってみたいですね。
< 裏歌詞 >
 この蒼い宙(ソラ)の向こう
 何処まで続くのかな

 見上げれば広がる空
 白い雲 流れてる

 僕は この羽はばたかせ
 遠く 果てない宙(ソラ)の彼方へ
 飛んでゆきたい 風に乗って
 はばたかす 舞い上がる
 地の果て臨む
 あれ程怖かった世界が
 広がっている

 風と雲 草と花
 この蒼い宙(ソラ)
 『背を押してくれてありがとう』と
 笑顔で言うよ

 目指す先 遠くても
 歩き続ける
 後ろ見たり立ち止まっても
 進み続ける

+ 06. その先にあるもの +
 当初から歌曲の予定であったこの曲の歌詞は、かなり短時間で書き上げることが出来ました。勿論後から修正した部分も含めて。一日も掛かってないと思われます。
 二番三番があってもいいかな、と思っていたのですが、そうするとかなり長くなってしまいそうで、今回少年を羽ばたかせるために一番頑張った花に出てきて貰いました。最終的に少年が飛び立つ切欠を与えたのは蒼穹なれど、そういう気持ちにさせたのは花だから。
 最後に締め括る曲として、大切に歌詞を作りました。目指す先に少しでも近づけるように。


 今回、インストゥルメンタルのために作った裏歌詞を載せたのは、他の誰かにも歌って貰いたいという目的があったからですね。無論曲自体は売り物として作ったものの為、ここで完全版を配布するわけにはいきませんが、もしCDを買って頂ける方の中で"歌いたい"と言われる方がいらっしゃればお渡しします。お気軽にご連絡くださいね。
 ご自身のサイトに載せたいというご希望があれば、サイトのアドレスを報告ください。こちらからもリンク致します。


 購入済みの方も、これからの方も、少しでも何かを感じて頂けたら幸いです。

2006.9  謳里 奏